屈曲型腰痛症のバリエーション: 前屈がつらい、前屈で痛い、背中を丸めると痛いという前屈障害を分解してみた!

屈曲型腰痛症のバリエーション: 前屈がつらい、前屈で痛い、背中を丸めると痛いという前屈障害を分解してみた!

 

①前屈の痛みは多くの人が経験する

前屈障害は多くの人々が経験する一般的な症状で、これは身体を前に曲げる動作(前屈)で痛みを感じる状態を指します。特に、背中を丸めると痛みが出るという状況は前屈障害の典型的な特徴です。

この問題は日常生活の基本的な動作を困難にし、さまざまな活動、特に運動や重いものを持ち上げるといった作業を制限する可能性があります。

前屈の動作は体の柔軟性や筋力、関節の動きと密接に関連しており、これらの要素が不調和になると痛みが発生します。

 

②症状は主に痛みと可動域制限

前屈障害の主な症状は、痛みと前屈の可動域の制限です。これは、腰や背中、脚の筋肉や関節の動きが制限され、正常な動作が困難になることを意味します。

これらの症状は、日常生活における様々な動作の質を低下させ、生活の質に影響を与える可能性があります。

 

③痛みは骨盤から下位胸椎にかけて広範囲

前屈障害の痛みは、骨盤から下位胸椎にかけて広範囲にわたって感じられます。これは、これらの部位にストレスが集中し、筋肉、靭帯、関節などが過度に負荷を受けるためです。

 

④発痛源を分析すると、以下のように多種多様

前屈障害の発痛源は多種多様です。ざっとかき出してみると、以下のようにたくさんの発痛源に分類されます。

  • 仙腸関節をまたぐ多裂筋(L1、L2由来)  
  • 腸腰靱帯上の多裂筋  
  • 棘突起に接する多裂筋  
  • 椎間関節関節包に接する多裂筋・腰椎神経講師  
  • 胸腰筋膜を貫く上殿皮神経  
  • 脊柱起立筋間の癒着  
  • 腸肋筋・第12肋骨の先端の痛み  
  • 第11、第12肋横突関節の炎症およびその上の多裂筋  
  • その他:椎間板、後縦靭帯など

これが治療の上では、ターゲットになりますから、発痛源の抽出があいまいだと、治療のターゲットもあいまいになってしまいます。

これらの発痛源は個々の状況によるため、評価において精密に分析することが必要です。

 

⑤腰部へのストレスの原因

腰部へのストレスを引き起こす運動学的原因は
・骨盤前傾不足と腰椎過屈曲  
・腰椎屈曲制限
というシンプルなカテゴリーに分類されます。

これらの問題は、体のアライメントと動きに影響を与え、前屈障害の原因となります。

 

⑥評価の進め方

前屈障害の評価は以下のような手順で進めます。

  1. アライメント評価
    • 脊椎のアライメント:脊椎の各部分が正しく配列されているかを確認します。
    • 前屈動作の分析:前屈動作中の身体の動きと動作の流れを評価します。
    • 骨盤・胸郭の静的・動的アライメント:立っている時と動いている時の骨盤と胸郭の位置を評価します。

  2. マルアライメントの原因の探索
    • 筋・筋膜・ファシアの過緊張:腰部、ハムストリングス、股関節などの筋肉や組織が過度に緊張しているかを調べます。
    • 不安定性:身体の特定の部分が不安定であるかを確認します。
    • 筋機能低下:アライメントを抑制する筋肉の力が低下しているかを評価します。

  3. 痛みの分析
    • 精密触診による発痛源の分析:触診を用いて痛みの原因となる可能性がある部位を特定します。


⑦治療の方向性

治療は以下のような手順となります。1)と2)はメカニズムに対する治療(原因療法)、3)は症状に対する治療(対症療法)となります。

  1. 原因因子の消去
    • 筋・ファシアの癒着のリリース:筋肉や組織が過度に癒着している場合、それを解放し緩和します。
    • 筋機能改善:アライメント改善に必要な筋肉の機能を改善します。

  2. アライメント改善の確認
    • 正しい身体のアライメントが確保されているかを確認します。

  3. 残存した症状に対する対症療法・発痛源の癒着のリリース
    • 残った症状に対して適切な治療を行い、癒着した発痛源を解放します。

 

⑧まとめ

前屈障害の診断と治療は、運動学的な分析を怠らず、発痛源の分析を怠らないことが重要です。

また、マルアライメントを修正するための治療をやり抜くことが、患者の痛みを軽減し、日常生活の質を改善する上で必要不可欠であることを覚えておきましょう。

さらに、すべての発痛源を治療することが、痛みの再発を防ぎ、身体機能を最大限に戻すための鍵となります。


★ 現在進行中の前屈障害に関するセミナーはこちら

ブログに戻る