骨盤底筋の機能とリハビリテーション最前線|WHS2025-08セミナーレポート
妊娠・出産後に見落とされがちな「骨盤底筋」の問題
2025年7月16日に開催されたWHS2025-08セミナーでは、骨盤底筋の機能低下とその評価・治療法について深く掘り下げられました。特に、妊娠・出産後の女性に多い骨盤底筋のトラブルに焦点が当てられ、多くの医療従事者が参加しました。
セミナーではまず、骨盤底筋の解剖学的位置と基本的な機能について解説。骨盤底筋は臓器を支える「ハンモック」のような役割を果たしており、適切な収縮とリラックスが重要であることが強調されました。
最新研究が明らかにした骨盤底筋トレーニングの効果
興味深かったのは、骨盤底筋トレーニングの効果に関する最新データです。研究によると、適切なトレーニングでは尿失禁改善に3人に1人の割合で効果が見られ、バイオフィードバックを併用することでさらに効果が高まることが明らかになりました。
しかし講師は「トレーニング万能論」に警鐘を鳴らします。出産によって生じる骨盤底筋の損傷(皮膚の切れ、血腫、癒着、神経損傷など)を適切に評価せずにトレーニングだけを進める危険性を指摘しました。
実践的な評価法と治療アプローチ
セミナー後半では、具体的な評価方法が紹介されました。
- 触診による筋緊張の確認
- 超音波エコーを用いた機能評価
- コード測定による客観的データ取得
特に注目されたのが「ペリネライザー」という器具を使ったリリース技術。骨盤底筋の過緊張や癒着に対して効果的なアプローチとして、実演を交えて解説されました。
参加者が取り組むべき「次のステップ」
セミナー終了時には、具体的なアクションプランが提示されました:
- 骨盤底筋の機能評価スキル向上
- 妊娠・出産後専用リハビリプログラムの作成
- バイオフィードバック活用の研究推進
- 9月開催予定の実技セミナーへの参加
最後に講師は「骨盤底筋の問題はQOLに直結する。適切な評価と個別化されたアプローチが不可欠」と締めくくり、参加者から大きな共感を得ていました。次回の東京での実技セミナーが楽しみになる、充実した内容のセミナーでした。
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