ISR2025セミナー要約 ~組織リリースで関節機能を劇的に改善~
2025年5月10日にリアライン・セミナーズ主催のISR2025セミナーが開催されました。本セミナーでは、股関節や足関節に存在する組織間の癒着を取り除き、痛み・可動不全・関節不安定性を改善するための技術的な方法が紹介されています。
その要点をまとめました。
1. 組織リリース技術の基本概念
- 癒着を特定する:皮膚や筋膜、骨膜、腱付近に生じる癒着を詳細に触診し、正確な位置を見極めます。滑走の限界を指先で捉え、抵抗の消失を確認しながら極めてゆっくりと最小限の圧を用いてリリースを進めます。
- 最小限の圧で効果を得る:過度に強い圧迫は筋組織や静脈、リンパ節の働きを妨げ、回復を遅らせます。指は局所的に小さな点として使い、軽度の接触と慎重な操作で十分な効果をもたらします。
- 適切なターゲットを見極める:対象となる組織の微細な滑走を回復するため、筋膜や神経鞘など結合組織の間に注目します。指をターゲット面に直角に当て、平行に擦るように操作します。
- 失敗を避けるための指導:誤った角度や過剰な圧は痛みを引き起こし、回復効果を下げます。指圧試行の範囲と角度を十分に訓練するよう強調されました。
2. 股関節および足関節への具体的な技術応用
- 股関節周辺のリリース:関節唇周囲、腸腰筋、臀部筋群の深部癒着を取り除き、股関節に安定と深層筋の回復を促します。慢性症状の原因として特に関節唇の外周部に注目します。
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足関節の後方滑り調整:
- 距骨の後方偏位の解消:足首の安定化に重要な距骨の位置調整に焦点があてられました。前脛骨筋腱や脛骨神経の癒着をリリースすると、距骨が解剖学的な位置に戻り、内返し捻挫のリスクが大きく低下します。
- アキレス腱・脂肪パッド周囲の解放:アキレス腱の滑走を制限する脛骨との癒着や、後方脂肪パッドの硬化を取り除くことにより、底屈時の制限を大幅に軽減します。
- 前脛骨筋腱のリリース:前脛骨筋腱の動きを阻害する筋膜の癒着を除去することで、足のしなやかな動きを回復し、捻挫などの再発を予防します。
- 神経の除圧:脛骨神経の癒着も脱感作によって改善され、慢性的な痛み症状の軽減に有効です。
3. 慢性コンパートメント症候群の対応と注意点
- 症状としての筋の過度な張り:単なる筋疲労ではないコンパートメント(筋間隔画内)症状の可能性を指摘。筋内の圧迫による静脈還流障害が根本問題であり、声明ではこれを重視してます。
- 効果的な治療アプローチ:静脈や神経組織をつぶすことなく静脈血流を回復させ、筋膜を緩め、組織の圧を低下させる具体的なリリース方法が示されました。圧を加えすぎる治療は禁忌です。
4. 骨関節の実践的な安定テスト
- 足関節テストの紹介:最大底屈ポジションでの母指球を合わせた内反方向テストを推奨します。治療前後での骨関節の安定性の改善を即座に実感できます。
- 継続的な治療評価の重要性:組織の状態が改善を維持できているかを評価するため、約1週間後に再評価することを勧めています。
5. 本セミナーの特徴と得たポイント
- 癒着リリースによる痛み、関節機能不全の顕著な改善法を学べる実践的な内容。
- 明日からすぐ臨床に取り入れ可能な各関節部位への具体的アプローチ。
- 無駄な力を排し、微細な感覚を最大限活かす繊細な治療技術。
- 慢性疾患や再発を未然に防ぐための注意点が具体的に学べる。
ISR2025セミナーは、初心者から上級者まで幅広く活用でき、多くの参加者から好評をいただいています。
わずかな圧と正確な組織特定による組織リリース技術をぜひ治療現場に取り入れて、患者様の回復を大きく促進しましょう。
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