セミナー要約:JHS2025-02(2025年4月30日開催)
体幹の動的安定性と腹横筋の役割
本セミナーでは体幹の安定化メカニズムならびに動的安定性、特にインナーユニット(横隔膜、骨盤底筋、腹横筋 等)の働きについて詳細に解説しました。
体幹の深部安定性とインナーユニット
体幹の深部安定性にはインナーユニットが大きくかかわり、このユニットの協調性が重要です。
特に腹横筋は、仙腸関節の安定性を保つ上で主要な役割を担っています。
しかし腹横筋の収縮は、仙腸関節の靭帯が不安定な状態では逆に不安定性を増加させることもあり、個別の状態に応じた注意深い対応が必要です。
腹横筋の活性化と機能的特徴
腹横筋は一般的に身体の左右で対称的に活動しますが、体幹を回旋する際には非対称に働くことがあります。
また、上肢挙上前には予備的に活動して脊柱や骨盤を安定させる役目も果たしています。
このメカニズムが十分に機能しないと、動作中の不安定性や痛みを引き起こすことがあります。
骨盤底筋の重要性
骨盤底筋は、特に肛門挙筋が重要であり、骨盤臓器の支持や尿道、膣の収縮機能維持において中心的な役割を果たします。
肛門挙筋が弱化すると、骨盤底の下垂が生じ、機能不全につながります。
骨盤底筋の正しい収縮を得るためには、腹筋群との共同収縮を促すことが推奨されています。
仙腸関節の安定化メカニズムとトレーニング法
仙腸関節の安定化には、腹横筋のドローイン(引き込み運動)が効果的です。
さらに大殿筋や脊柱起立筋といった筋群の協調的収縮も仙腸関節を安定させる助けとなります。
これらの筋が適切なタイミングと強度で共同作動するトレーニング法が紹介されました。
腹腔内圧の調整と動的安定性
腹腔内圧は体幹安定性に直接関連し、高強度トレーニング時には特に重要です。
動作の種類・強度によって腹腔内圧のパターンが変化することにも着目し、安定性確保のための圧力管理について言及しました。
また、腰痛患者と非腰痛患者における腹筋活動の違いや、多裂筋と腹横筋の関係性についても触れられました。
多裂筋の役割
多裂筋は腰椎および仙腸関節の安定性に密接に関連する筋肉であり、腹横筋と並んでインナーユニットとして重要な役割を担います。
多裂筋の適切な活性化と評価方法について、具体的な情報が提供されました。
胸郭アラインメントと腹圧との関係性
胸郭の適正なアラインメントは、腹腔内圧を効率的にコントロールする上で必要不可欠な要素です。
不良な姿勢による腹圧の低下やアンバランスは、体幹の不安定性を生じさせやすいため、胸郭の適切な評価と訓練方法について解説されました。
腹筋群収縮と腹圧の違いについて
腹筋群の収縮と腹腔内圧の調整は異なる概念であり、それぞれのメカニズムを理解した上で個別に制御を学ぶ必要性について強調しました。
両者の適切な調整能力が体幹安定性の基礎となることが説明されました。
以上、体幹の動的安定性に関し、多角的な視点から解説されました。
今後の臨床活動やスポーツ現場において、今回の知識をぜひご活用ください。
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