セミナー要約: 体幹の動的安定性と安定化メカニズム
本セミナーでは、体幹の動的安定性をテーマに、体幹深部筋群(インナーユニット)の役割について解説しました。
特に横隔膜、腹横筋、骨盤底筋、多裂筋などの筋群に焦点をあて、その解剖学的特徴と役割を詳しく紹介しました。
インナーユニットの重要性
体幹の安定性にはインナーユニットが不可欠であり、具体的には横隔膜、骨盤底筋、腹横筋、多裂筋が共同して腹腔内圧を調節しています。
腹腔内圧が適切に管理されると脊椎の安定性が向上し、腰椎への負荷が軽減されます。
特に腹横筋は、収縮によって直接腹圧を上げ、体幹の深部安定性に貢献しています。
腹横筋の作用と仙腸関節の安定化
腹横筋は左右対称の収縮が一般的ですが、体幹の回旋や片側動作時には非対称的に働きます。
また、腕の挙上運動の前には予備的に収縮し、動作による不安定性を防ぎます。しかし、仙腸関節の状態次第では、腹横筋の収縮がかえって不安定性を促進する可能性があることにも注意が必要です。
また、大殿筋や脊柱起立筋の適切な連動が仙腸関節を安定化するために必要であり、腹横筋によるドローイン運動が特に効果的です。
骨盤底筋群の役割と強化のポイント
骨盤底筋群、とくに肛門挙筋は、尿道や膣の収縮を促進して内臓を支持する役割を果たしています。
これらの筋肉の弱化が進むと、骨盤底の臓器の下垂や尿漏れなどの問題が起きる可能性があります。
骨盤底筋の効果的トレーニングには腹横筋などの腹筋群と同時に収縮させることが推奨されます。
多裂筋と脊柱の安定化
多裂筋は脊柱の安定化に関与する重要な筋肉であり、特に仙腸関節の安定性を高めるためにも必要です。
腰痛患者と非腰痛患者では腹筋の活動パターンに明らかな違いがあり、多裂筋の機能を評価し正しくトレーニングすることが重要です。
動的安定性向上のためのプラクティカルな戦略
体幹の安定性を高め、腰痛を予防するためには、インナーユニットを鍛えるだけでなく、日常的な動作時の腹腔内圧のコントロールも大切です。
とくに、リフティング動作や高強度トレーニング時の腹腔内圧の変動を理解し、適切な筋収縮パターンを維持することが推奨されます。
本セミナーで解説した理論と実践方法を日々の臨床やトレーニング指導などに活かし、より安全で効率的な運動習慣を促進しましょう。
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