【セミナーサマリー】胸郭の評価方法と臨床での重要性
胸郭の評価方法
胸郭の評価を開始するうえでは、病歴聴取と視診・観察が重要です。まず、患者の年齢や性別、職業、既往歴から、スポーツ・運動歴に至るまでを入念に確認します。
また、受傷メカニズムや症状が発生した場面を具体的に問診することは、診断を適切に行うために不可欠です。
胸郭周囲の痛みには、筋骨格系にとどまらず内臓系の問題が影響する可能性があり、常に幅広い視点で評価する必要があります。
姿勢観察の際には胸椎の湾曲や側弯、肋骨の位置異常を見逃さないよう確認します。「スパイナルマウス」や「EOSシステム」といった医療機器を活用することで、姿勢評価を定量的に分析できます。
画像診断においては、レントゲンやMRIがよく用いられ、特に胸椎の側弯度を測る「コブ角」は一般的に用いられる指標です。
しかし、胸郭部の評価では骨が重なって見えにくい場合があり、その際にはCTが有効です。ただし、CTに関しては放射線被曝への配慮が必要です。
加えて、第一肋骨の疲労骨折は見逃されやすいため、とくにオーバーヘッドスポーツを行う若年者の頚背部痛には慎重な評価が求められます。
胸郭の評価ポイントとその重要性
胸郭の評価において、前屈・後屈・回旋といった基本動作の確認が求められます。特に後屈と回旋の動きが強調され、胸郭の機能的評価に欠かせない検査項目となります。
例えば、後屈動作中に頭部が過度に落ちる場合は、上位胸郭の伸展不全を示唆する兆候と考えられます。また、肩甲骨の下制内転運動時に胸郭がきちんと連動しない場合、胸椎や肋骨の硬さによる制限が疑われることから、その点にも注意が求められます。
さらに、胸郭下部の拡張制限を検査するため、最大吸気時に肋骨の可動域を評価します。
適切に拡張できない場合は、胸郭のねじれや左右の差異をアシストする評価も実施されました。肋骨単位で観察し、肋間筋の緊張状態を把握することも胸郭評価においては重要となります。
また、下部胸郭を固定した状態における上部胸郭の運動を観察することにより、胸郭全体の協調性を評価することも重要です。
こうした細やかな評価によって、治療戦略の選択や適切な介入方法を定めていくことが可能となります。
本セミナーでは、講師が具体的なケースを交えながら解説を行い、胸郭の動きの評価法と臨床における重要性について強調されました。
胸郭は姿勢や運動機能の基礎を成す重要な構造であり、適切な評価は臨床結果を大きく左右します。ぜひ日々の臨床現場に取り入れ、患者さまの治療向上に役立ててください。
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